拾われた猫。




「左之さん?」



平助の声で我に返ったのか、ハッとして視線を外した。



眉を寄せて何かを考えていた。



「おいおい、左之。

どうしちまったんだよ?」

「……いや、別に何でもねぇよ」



いつものように微笑んで、部屋に入ってきた。


それからは左之も新八も平助をからかう様子はなかった。




不自然で仕方なかったけど、特に聞く必要もなく流れた。



左之と新八は私の様子を見に来ただけらしかった。


それを見て私は、〝信用が無い〟ということを勝手に実感していた。



他愛もない話をするだけで、夕方頃に彼らは帰っていった。


< 184 / 443 >

この作品をシェア

pagetop