拾われた猫。
「左之さん?」
平助の声で我に返ったのか、ハッとして視線を外した。
眉を寄せて何かを考えていた。
「おいおい、左之。
どうしちまったんだよ?」
「……いや、別に何でもねぇよ」
いつものように微笑んで、部屋に入ってきた。
それからは左之も新八も平助をからかう様子はなかった。
不自然で仕方なかったけど、特に聞く必要もなく流れた。
左之と新八は私の様子を見に来ただけらしかった。
それを見て私は、〝信用が無い〟ということを勝手に実感していた。
他愛もない話をするだけで、夕方頃に彼らは帰っていった。