拾われた猫。
「入るぞ」
日が完全に沈んですぐの頃、再び左之が私を訪ねた。
「どうぞ」と部屋に招くと、私の前に座った。
「どうしたの?」
帰ったはずなのに彼が来るとは思っていなかった。
彼にいつものような優しい笑顔は無かった。
悲しそうに私を見ているのは何故だろう。
「俺はお前を妹みたいだと思ってる」
突然の告白に驚いたけど、すごく嬉しかった。
私は信用されていない。
でも、平助は私のことを思ってくれている。
そしてそれは左之もだった。
少なくとも私には救いになる。