拾われた猫。



「入るぞ」



日が完全に沈んですぐの頃、再び左之が私を訪ねた。



「どうぞ」と部屋に招くと、私の前に座った。




「どうしたの?」


帰ったはずなのに彼が来るとは思っていなかった。



彼にいつものような優しい笑顔は無かった。


悲しそうに私を見ているのは何故だろう。




「俺はお前を妹みたいだと思ってる」



突然の告白に驚いたけど、すごく嬉しかった。



私は信用されていない。


でも、平助は私のことを思ってくれている。


そしてそれは左之もだった。


少なくとも私には救いになる。



< 185 / 443 >

この作品をシェア

pagetop