拾われた猫。
今度は休む暇も無く、腹部を目掛けて槍が突き抜ける。
それでも間一髪で避けるが、また一つ傷が増える。
鬼たちも酒を飲んでいた。
だが、それ以上に芹沢鴨は酒を飲まされていた。
傷が増えるとともに、酔いもどんどん回っていく。
「芹沢さん、あんたもう諦めな。
悪いが、これ以上は見苦しいぜ」
ボロボロになった彼を見下ろす槍はギラリと月明かりに照らされる。
芹沢鴨は座り込み、息を荒くしながら刀で自身を支えている。
音も風も無い。
静かな世界で緋い液体が地面に飛び散っている。
「何か言い残すことはあるか?」
鬼が悲しい殺気を浮かべる。