拾われた猫。




芹沢鴨はいつもの威圧で彼らを睨みつけた。




何も言わなかった。


それは傷口のせいでもう動くこともままならなかったのだ。




「悪いな、芹沢さん」


そう言って振りかぶった刀を振り下ろした。



動けない彼は歯を食いしばって、悔しそうに顔を歪めていた。


芹沢鴨の頭には梅の顔、そして未だに感情を面に出さない香月雨の顔が浮かんでいた。




それは一瞬だった。


ガキンッ!



芹沢鴨の前に人影が現れると同時に、鬼の刀は吹っ飛び、カランカランと転がっていったのだった。



人影はゆっくりと片足を下ろし、地面につく。



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