拾われた猫。
「…質問を変えてやる。
お前は自分が何をしたのか分かってんのか?」
ちらりと後ろのお父さんを見る。
随分と傷を負っている。
かなり抵抗したんだろう。
息も乱れて、酔いが回って頭がボーッとしているようだった。
「……やっぱりこの人は見殺しにできない。
この人が死んだら梅姉さんはきっと生きていけない。
…梅姉さんには私じゃなくてこの人じゃないとダメだから」
目を伏せて、素直にそう言った。
本当はもっと駆け引きの言葉とかがあるのかもしれない。
この人を助けるためにはトシを説得しなければならないんだから。
こんな言葉しか出てこなかった。
殺ししかしてこなかった私が初めて助けたいと思った人たちだから。