拾われた猫。
「この人を見逃してほしい」
自然と眉間に力が入る。
トシの表情は変わらない。
勇まで顔をしかめて、考え込んでいるようだった。
「代わりに俺はどうなっても構わない。
お父さんが新選組を抜けるための原因になっても構わない。
俺が追われる立場になったっていい。
何なら殺される役を買って出てもいい」
この言葉にはさすがに皆驚いたようだった。
今までたくさんの人を斬ってきたこの私が、今更いい死に方をするとは思ってない。
でもせめて、許されるなら守りたい人のために死にたいと思う。
「この人にはもう新選組には関わらせない。
だから…、……見逃してほしい」
頭を下げる。
本当にこれでいいと思っていた。