拾われた猫。
「駄目だ」
私の懇願はほんの一言によってバッサリと切られた。
簡単に承諾されるとは思っていなかった。
けど、この条件ならもしかしたらと思っていた。
「トシ…!」
「駄目なものは駄目だ。
お前の処分については後だ。
そこを退け」
再び刀を構える。
それを合図に皆も戸惑いながらも刀を構えた。
「…香月くん、そこを退きなさい」
勇はいつものような穏やかな顔ではなかった。
厳しくて悲しげな顔だった。
「それとも、雨ちゃんは僕たち全員の相手をするの?」
唯一いつものように余裕そうに笑う総司。
でも、やっぱり悲しい殺気を感じた。
もしかしたら皆、私を斬ることに何かを思ってくれているのかもしれない。