拾われた猫。



淡い期待を浮かべながらも、そんなに甘い連中では無いのだと痛感する。



彼らは私がここにいても刀を引く気は無いのだから。



私もここを退く気は無かった。


……彼らに刀を向ける覚悟も無かった。



数本の刀が私に向いている。


それが怖いとも思わなかった。


私はお父さんに視線をチラリと向け、口パクで彼に指示する。


──逃げて。



お父さんは私を見てハッと目を見開いた。


私が刀に向き直ると同時に、横に突き飛ばされた。



体が浮いている時にちらりと見た。


お父さんが私を突き飛ばしたのだと悟る。



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