拾われた猫。
第一章
違う世界
「…さん、……づきさん…香月さん」
クラスメイトの声で目が覚める。
まずは真っ黒な髪が目に付く。
次に顔を上げると呼んでくれたクラスメイトが立っている。
「もう放課後だよ…?」
親切心で教えてくれているが、誰ともつるもうとしない私とは少し気まずいようだった。
「ありがとう」
表情を変えずにそう言うと、鞄を持って立ち上がり、彼女の隣を過ぎていく。
後ろの方で何故かきゃあきゃあと騒ぐ女の子たち。
気まずさ、羨望、興味、嫌悪、様々な視線が私に向けられる。
何故だか知らない。
知りたいとも思わない。
私は一度家に帰宅する。
歩いて15分程度で着く。
必要最低限のものしか置いてない殺風景な部屋で、シャワーを浴びていつもの仕事着に着替える。
武器は多いに越したことは無いけど、自分の携帯容量を超えると、重すぎて動きが鈍くなる。