拾われた猫。
総司は彼女の背中に立ち、刀を構えた。
「あんたがうちを殺してくれるん?」
お父さんの頬を撫でる手を止めて、そのままの態勢で総司に話しかける梅姉さん。
梅姉さんだけは殺させたくない。
総司と梅姉さんに近づこうとして、腕を掴まれる。
「左之!
離して!」
「駄目だ…」
グイッと私を引いて、自分の方を向かせた。
真剣で悲しげで、苛立った彼の顔。
その表情はきっと私を心配してのこと。
「…離せ。
腕を飛ばされたくなかったらな」
低く唸るようにそう言った私に、少し怯んだ様子だったけど、その手を離すことは無かった。