拾われた猫。
一騒動すぎて、やがて夜になった。
私は未だに花を見ていた。
障子がスッと開いて、誰かが入ってきた。
反応せずに気を許す。
「雨」
名前を呼ばれてやっとそちらを向いた。
左之が私を見つめて座っていた。
私はすぐに視線を外して、花を見る。
左之は何も言わずに私の側に居てくれた。
「……私は梅姉さんたちに何が…出来たのかな」
ポツリと呟いた言葉はどんどん溢れて言った。
「私は何のためにここに来たの?
私が居なければ…ここに私がいなければあの人たちは死ななかったかもしれないのに…!」
力の入らないはずの体のどこからそんな声が出てきたのだろう。