拾われた猫。
ふわりと体が軽くなる。
呼吸も落ち着き、楽になった。
───いい子だ。
風に頭を撫でられた気がした。
正常な呼吸になったことで、左之も安堵の笑みを見せた。
「…全部聞いてやる。
だから落ち着け」
風が撫でたように、左之も私を落ち着かせるように撫でた。
その時、何かが外れたように涙が止まらなくなった。
頭に流れるのは梅姉さんの笑顔と、最後の言葉。
そしてお父さんの最後の微笑みだった。
私は彼らに伝えたいことがあったんだ。