拾われた猫。
彼らは私に無条件で存在させてくれた。
彼らに何も返せなくても、笑って側で私の名前を呼んでくれた。
「私は……どうしたらあの人たちに、想いを返せるんだろう…」
左之は震える私の肩を抱き寄せた。
彼は温かかった。
温かい彼の胸に、この人は生きているのだと安心した。
彼の鼓動が聞こえる度、私はここにいるんだと感じる。
「…笑え。
俺はお前の思いを…叶えてやることは出来なかったが、これからのお前を支えてやることは出来る。
だから……お前は安心して笑え」
私の頭を撫でながら背中に回る腕の力を強めた。
彼の声も腕も温かさも安心する。
「もう死にたいなんて思うな。
俺は死なない。
お前の前から消えたりしない」