拾われた猫。
彼の言葉で冷たかった心に少しずつ火が灯っていくように感じる。
「お前も…俺の前から消えるな」
更に腕に力を入れた。
苦しかったけど、嬉しかった。
彼の背中に手を回す。
大きくて、私の両手じゃ収まらない。
「私はっ……笑っても……いいの?
大事な人すら…守れな…かっ……」
嗚咽でその先が続けられなかった。
でも、左之は全て分かっているように続けた。
「だったらその分、これからは俺がお前の大事なもんを守ってやる。
お前は普通の女みたいに笑ってろ」
彼の背中は大きい。
それはただ単純に、体格の大きさだけではないのだと分かる。