拾われた猫。
左之の胸の中で声を上げて泣いた。
何事かと集まってきた幹部たちもその様子を見て、微笑みを浮かべていた。
泣き止んだ時は我に返って、恥ずかしくて俯いた。
そして遠慮がちに彼らを見て、口を開く。
「…ありがとう」
ポツリと呟いた言葉は皆を驚かせたみたいだったけど、私は自然と顔が緩む。
照れて赤くなったり、また笑いかけてくれたり、反応はそれぞれだった。
そしてもう夜も遅いのでバラバラと帰り始めた頃、私は平助を呼び止める。
「どうしたんだ?」
「ちょっとだけ話せる?」
平助は緊張したように頷く。
その様子をまたクスリと笑う。