拾われた猫。
謹慎はまだ1週間あるけど、私はトシの部屋の前に来た。
「トシ」
障子の前で声をかけて、返事も待たずに開く。
「…謹慎中だろうが」
「うん」
開き直ったように頷く私に溜め息をつく。
呆れたように「入れ」と言った。
障子を閉めて畳の上に正座する。
トシも私の方を向いた。
「俺は2人を庇ったことを後悔してない」
強い口調で彼を見つめる。
それを何も言わずに聞いてくれる。
「でもあんたらに刀は向けられなかった。
どっちつかずのまま飛び込んで、結局何も成せなかった」
トシは興味が無さそうに瞼を伏せた。