拾われた猫。
「トシ」
彼の名前を呼ぶと、再び私の方を見てくれた。
「心配してくれてありがとう」
「…は?」
唐突な言葉に珍しく素っ頓狂な声を出した。
クスリと笑って見せると、彼は怪訝な顔をする。
「無理矢理食べさせたのだって、心配してくれたからでしょ?
まぁ、1週間も食べなかった人にいきなり団子食べさせるのはどうかと思うけど」
「うるせぇ。
…女は甘味が好きなもんだろうが」
少し頬を赤らめながら、咳払いをした彼。
可笑しくなって少し笑って、「偏見じゃん」と返す。
いつもの如く鬼の形相で私を睨む彼に、先程の恥じらう姿は無かった。
「…お父、芹沢さんは新選組のことを思ってたよ」
トシは再び真剣な面持ちで私を見る。