拾われた猫。
「やり方はきっと…間違えてた。
町中で暴れたりするのは褒められたことじゃない。
でも、今は舐められている新選組をどうにかしたかったんだと思う。
ここが、大事だったから」
お父さんのことを話すだけで、あの優しい笑顔が浮かんで泣きそうになる。
涙を塞き止めるように目を瞑る。
両手をギュッと握って瞼を開く。
「俺にとってもここは大事な場所になった。
だから俺は〝ここ〟を裏切らない。
俺も〝ここ〟を信じる。
だから、あんたらも俺を信じて」
私を見るトシの目は大きく見開かれた。
トシの目を離すことなく見つめる。
大きく見開いた目は徐々に戻っていき、溜め息を落とした。
「…ったく。
言っとくが、お前を信じてねぇわけじゃねぇ」
ぶっきらぼうな彼は本当に分かりにくい。
あの時、外出しただけの謹慎処分は私に芹沢暗殺を見せないため。
多分、決まっていたことなんだろう。