拾われた猫。
彼らの気遣いを無駄にしてしまったけど、私はこれでよかったと思ってる。
お父さんが悪役になってでも守ろうとしたこの場所を、今度は私が守りたい。
言いたいことを言い終えたトシは、また机を向いて、書類の整理を始めた。
私も出ようとした時だった。
「副長、失礼します」
「山崎か。
入れ」
そのままの状態で声をかけると、丞が障子を開けた。
丞は中にいた私を見て、一瞬驚いて気まずそうな顔をした。
トシは書類の相手をしながらその様子を見逃さなかった。
「その風呂敷とこいつになんの関係があるんだ?」
すかさずその質問を飛ばすと、丞は風呂敷と私を交互に見る。
しばらくそうしていると、トシは机の方からこちらに向いた。
トシの行動に観念したように障子を閉めて座る。