拾われた猫。
「今、芹沢局長の家の整理をしてきたのですが…」
私たちの前に風呂敷を差し出した。
トシは丞の顔を見たままだったけど、私は見覚えのある風呂敷に疑問を覚える。
この風呂敷の中は梅姉さんが妹の贈り物にしたいと言っていた着物だろう。
丞は私の方を見て、風呂敷を私の前に寄せた。
「…君には見せようか見せまいか迷ったのだが、丁度ここにいたのでな。
今の君にとってどう繋がるか分からんが、良い物になると信じることにする」
私は風呂敷を解くと、案の定出てきたのはやっぱりあの時の見事な着物だった。
でもそれだけではなかった。
着物の上に、見覚えのない手紙が入っていた。
それを手に取って丞を見ると、コクンと頷いてくれた。
手紙はカサリと音を立てながら、私の手によって開かれた。