拾われた猫。
丞が私の背中を摩ってくれる。
トシが悲しそうに私を見ている。
本当だね、梅姉さん。
私は…一人じゃなかったよ。
私の周りにはいつの間にか、私を気にして支えてくれる人が増えていた。
お父さん、あなたが出来なかったことを私がする。
ここは必ず守るよ。
だから…見守っていて。
その瞬間、少し乱暴にふわっと風が私の頭を撫でた。
それは人の体温みたいに温かかった。
風が私の体を包んだ気がした。
一瞬で過ぎていった風に拭き取られたように涙が止まった。