拾われた猫。
眉を寄せて、彼を睨みつける。
でも彼は神妙な面持ちのまま、変えようとはしなかった。
「それでお前は何を聞こうと?
あの男の死に方か?
助け方か?」
〝お前に何ができた?〟
彼はきっとそう言いたいのだろう。
何も言えない私に、彼はまたふわりと近づいた。
人差し指で私の顎を持ち上げ、目を細くした。
「雨、私はお前のためにならないことはしない。
お前が願うなら何でもしてやりたいと思う。
だがな、世界は人々の心によって回る。
私は神ではない。
何も変えられはしないのだ」
人差し指に支えられるまま、彼の顔をボーッと見ていた。
明確な答えはいつもくれない。
訳の分からない言葉ばかり並べる。