拾われた猫。
彼に微笑みが戻ると同時に、霧が立ち込めて目が覚める。
上半身だけ起こして、顔に片手を当てる。
頭を少し倒すと、赤い髪が重さに負けて肩を伝って降りてくる。
「…私は何を……」
もう割り切ったはずだった。
お父さんや梅姉さんは自分たちの死を受け入れていたはずなのに。
彼らを斬った新選組を恨んでいるわけじゃない。
それは確かなはずなのに。
まだ……完全に受け入れるのには時間がいるのかもしれない。
布団から出て、障子を開けると丁度総司が通るところだった。
タイミングが良すぎて、お互い目を見開いていた。