拾われた猫。
ただただ首を傾げる私をクスクスとわらった。
「困らせるつもりはなかったんだ」
頭から頬へ、滑り落ちて止まる。
何だか気恥ずかしくて俯く。
その時、ガラリと道場の戸が開いた。
「やっぱここにいた!
って、雨?
2人きりでこんなとこで何してんだよ!?」
慌てて駆け寄る平助に総司は迷惑そうな顔を向けた。
私は正直、平助が来てくれて助かった。
「何しに来たの?」
「飯作んのお前らの当番だからだよ。
左之さんが呼んできてくれって」
総司はさらに機嫌の悪い顔で左之の名前を呟いていた。