拾われた猫。



もちろん私の前にも、初めて見た男が刀を構えて立っていた。




後からゆっくりとした2つの足音が聞こえた。




「何事ですか?」



眼鏡をかけていて、長い黒髪の男がゆったりとした声でそう言った。


その割には顔をしかめていた。


後ろの男は緩いパーマのような藍色の短髪が特徴的だった。



前の男とは違って表情を変えていない。




「土方さん、これは総司の仕掛けたことだ!

こいつが悪いわけじゃないんだよ!」




平助と呼ばれる男が私の前に立ち、流れを説明する。



それでも土方と呼ばれるポニーテールの男は考えを覆そうとはしなかった。




「だからなんだ?

屯所内で刀を抜いたことに変わりはない」



土方と呼ばれる男は、綺麗に整った顔だったが、眉に深く刻まれた皺は昨日今日作られたものではない。



平助と呼ばれる男は、土方と呼ばれる男に睨みつけられても私の前を退こうとはしなかった。



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