拾われた猫。
「総司も変わったけど、お前も随分笑うようになったな」
彼の横顔が少し切なそうに見えた。
そして私を向いて、手が伸びてきた。
その手は頬に伸びてきたと思ったけど、頭に手がかかった。
ゆっくりと撫でる手はいつもよりも心地よく感じた。
「左之、ありがとう」
私も優しく微笑んだ。
左之は「ん?」と首を傾げた。
「総司のこともだし、私のこと気づいてくれて」
「そんなこと当たり前だろ」
そう言ってくれる彼は嬉しそうだった。
総司が心を許してくれたことも嬉しかったけど、左之が「当たり前」と言ってくれたことも嬉しかった。
誰かのためになりたいと思うのに、結局私が救われているような気がした。