拾われた猫。
「…副長、近藤さんが大広間に集まれとのお達しです」
一の声が障子の外から聞こえた。
近藤さんは遠くに出張に行っていた。
今日帰るとは言っていたけど、こんなに早く帰ってくるとは思わなかった。
「近藤さんが帰ってきたのか。
分かった。
斎藤は先に行け」
「はい」
障子の後ろの気配が消えると、トシは簡単に机の上を整理した。
それが終わると、私たちも大広間に向かった。
大広間の戸を開けると、私たち以外は揃っていた。
「雨ちゃん、また土方さんの所に居たんだね」
「当たり前だ。
こいつは俺の小姓だ」
トシは勇の横に座りながら、総司に言い放つ。
どこに座ろうか迷っていると、左之が私を見て自分の隣をポンポンッと叩いた。