拾われた猫。
「近藤さん、その猫は猫又ではありませんか」
言葉を発したのは敬助だった。
敬助は確かに「猫又」と言った。
私の世界では猫又とは空想上の生物でしかなかった。
この世界にはそれが実在している。
「しかし興味深い。
猫又をこの目で見るのは初めてです。
絶滅したと聞きましたが、この子は生き残りですか」
敬助は好奇の目で猫に近づく。
皆もその目は猫に惹かれていた。
猫自身はかなり警戒している。
「敬助、なんで絶滅したの?」
敬助は猫から目を離し、私を見る。
「そうですね、貴方は何も知らないのですね」