拾われた猫。



敬助は私に猫又のことを話してくれた。




「猫又は本来人には決して懐きません。

ですが、神話ではただ一人懐いたと言われる者がいます。

それは麗神者<レイジンシャ>と呼ばれる者です」

「麗神者?」




聞き慣れない言葉を聞き返す。




「王と女王が交わり生まれた御子の事です。

まぁ、そんなことは有り得ませんが」



敬助は猫又に視線を移して、言葉を発する。



「つまり、猫又は人に懐くことはありません。

故に猫又の力も未知数なのです。

猫又が絶滅したのも随分前の話で、人間の戦争に巻き込まれ、その数が減り、今や絶滅したと聞きました」




私から猫又の絶滅の話を聞きたいと言ったけど、今は麗神者の話で頭がいっぱいだった。



王と女王は会うことすら禁じられている。



単に猫又は人に懐かないと言うだけでそんな迷信を作るのだろうか。


わざわざ王と女王の子供に〝人〟以外の名前をつけてまで…。



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