拾われた猫。
「君は猫又を鎮める程の殺気を出せるのですね」
私に近寄って、観察を始める。
何となく固まっていた私を助けたのは左之だった。
「山南さん、あんたの知識欲は分かるが、こいつが固まってる」
「これは失礼しました」
綺麗に、そして緩やかに微笑んだ彼からは1mmも反省は感じられなかった。
新撰組の中では知識もそうかもしれないけど、知識欲も人一倍とは…。
「ずっとじゃなくてもいいんだ。
怪我が治るまで、うちに置いておいてもいいだろうか?」
子供が親にお願いするような雰囲気の勇を皆は呆れたように笑った。
「近藤さん、あんたが言うなら皆は反対しねぇよ」
トシが勇の肩をポンッと叩いた。
勇が安心したように笑った。
総司は嬉しそうにそれを見ていた。
彼は本当に勇が好きなんだ。