拾われた猫。
私の世界に無いものがここにはある。
私の世界にあるものがここには無い。
そのうちぬらりひょんとかも出てきそうだ。
「変なの…」
洗っても流れてくる血を見ながら呟いた。
「香月くん?」
振り返った私の手を見て、勇は焦りながら駆け寄った。
「猫又にやられたのかい?!
…傷は浅いが、血が止まってないな。
こっちに来なさい」
私の手を引いて、丞の部屋についた。
急に開かれた障子に驚いた表情を見せる彼に、私の傷の手当を命じた。
困惑しながらも私の傷を見てくれた。
「ちゃんと洗われているみたいだから、大事にはならない」
微笑みながら包帯を巻いてくれた。