拾われた猫。
「私の部屋は珍しいですか?」
クスクスと笑いながら、お盆に乗ったお茶と茶菓子を分けた。
「いや…その、綺麗だなと。
ほかの人たちと比べて」
「ほう、ほかの人たちの部屋に入ったことがあるのですか。
妬いてしまいますね」
楽しそうに笑う彼の長髪を窓から入る風が揺らした。
女の人のように綺麗な顔や仕草。
けれど、背の高さや体の線を見ると男なんだと実感する。
首を傾げる敬助に、恥ずかしくなって目を泳がせた。
その様子をまたクスリと笑った。
「それで、貴方は猫又のことを聞きに来たのですか?」
声音が真剣になり、私も視線を戻す。
私はコクッと頷く。
敬助はお茶を少し啜って、ふぅっと息を吐いた。