拾われた猫。
「食べ物は普通の猫と同じものでいいと思います」
「…キャットフードとか?」
「きゃっとふーど?」
ふと口から漏れたワードに首を傾げる彼に、「気にしないで」と言う。
この世界にキャットフードはないらしい。
「魚とか…かな?」
「肉でもいいかと」
「人肉?」
今度は私がニヤリと笑い、仕掛ける。
敬助は困ったように笑った。
「魚はどこで採れる?」
「町の外れに大きな川があるので、そこならたくさん採れますよ」
そこは適当な誰かに案内してもらうとして、トシに外出の許可を貰いに行かなければならない。
問題は竿。
ここに来て日が浅い私がそんなものを持っているはずもなく。
「竿ならもしかすると、井上さんが持っているかもしれませんよ」
私が顔に出やすいのか、敬助が鋭すぎるのか。
お礼を言って、次は源さんのところに向かった。