拾われた猫。
部屋にいてくれたので、思ったよりも早く借りられた。
「それは君にあげよう。
古いものだし、私はもう1本持っているからね」
穏やかに微笑む彼に甘えて貰ってしまった。
今度はトシの部屋に行って、事の成り行きを話し、許可を貰った。
「大人しくしてなよ?」
猫又の檻を抱いて、いざ出発しようとしたけど、門の前で立ち止まる。
場所が分からないので、行きようもない。
準備している時に誰かに会うかと思ったけど、こういう時こそ会わないものだった。
眉を寄せて考えていると、遠くにあの3人が現れた。
「酒だ酒!
飲みに行くぞ!」
「新ぱっつぁん、仕事終わったからって機嫌良すぎ」
「こいつは酒のために生きてるようなもんだからな」
愉快な会話をしながらこちらに来る彼らは、やっと私に気づいたらしかった。