拾われた猫。



「じゃあ雨ちゃん!

俺たちは行くから、気をつけてな」



3人に手を振ると、機嫌が良さそうに行ってしまった。



そして1人と1匹になった。


私は未だに私を警戒する猫又を見る。



「すぐ採るから」


ニコッと笑って、竿を見る。



その時だった。


ピクピクと先が動いたので上げてみると、小さな魚が釣られていた。


釣られている魚を釣り針から取り外すと、猫又を見る。



柵の間を通すには魚の方が太すぎる。



余程お腹が空いていたのか、猫又の目は魚に釘付けだった。



「…逃げたら捕まえればいいか」


檻の入り口を開けた瞬間、猫又はそれに飛びつく。



私が魚を掴んでいて、それに猫又が釣られている。


フッと笑いが漏れた。


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