拾われた猫。




下に下ろしてやると、モグモグとそれを食べていた。



猫又の食事は魚でもいいらしいということが分かった。



「まだ捕まえてあげるから、大人しくしてなよ」



言葉が分かるはずのない猫又に言い聞かせ、また釣り針を沈ませる。



猫又が川の中をのぞき込んだ。



包帯のついた手を水をちょいちょいとつついていた。


傷があまりにも痛いという様子は無くて、少しホッとした。



猫又から目を離し、竿の先を見ていた。



「ギャンッ!」



大きな叫びとともに、ドプンッという音が隣から聞こえてくる。



慌ててそちらを見ると、小さな体で必死にもがく猫又の姿があった。



包帯には傷が少し血が滲んでいる。



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