拾われた猫。
「香月?!
……何があったのだ?」
帰って早々に一に会ってしまった。
「この子が川に落ちたから。
寝てる間に包帯変えてあげたい」
そう言うと、察したように素早く動き始めた。
自室に戻ると、猫又を抱いたまま手ぬぐいを出して体を拭いてやる。
私が抱いていたとはいえ、体が冷たい。
手ぬぐいで包んでやると、暖かくて安心したのか、表情が柔らかくなった。
「香月、入るぞ」
一は障子を開いて入ってきた。
その後ろから丞も入ってきた。
一が呼んだのだろうと察した。
「容態は別に大したことはないと思うけど、一応見てあげて。
包帯も変えてあげてほしい」
丞はテキパキと猫又の治療に移った。