拾われた猫。
清虫の声が聴こえる。
部屋には、安定した微かな寝息とロウソクの火。
窓枠に肘をついてそれらを見ていた。
最近は当たり前だけど、殺し屋の仕事が無い。
夜に寝るのが普通になっていた。
けれど体は覚えているのか、さほど辛くはなかった。
「殺し屋稼業様々だね」
気持ちよさそうに眠る猫又を見て、クスリと笑う。
あれから一度も目を覚ますことが無かった。
ずっと私を警戒していたから寝ていなかったんだろうか。
そういえば、あの人といた時にもこんな穏やかな夜があった気がする。