拾われた猫。
「何やら理解しづらい話ですね」
穏やかに笑っている眼鏡の人はきっと信じていない。
確かに誰でも「そうですか」と信じられる内容ではない。
自分がその状況じゃなければ、信じることなんか出来ない。
ふと床を見ると、破られた私の服と携帯が転がっていた。
それを取って、見えるように投げつける。
「……これが証拠」
それを見るなり、平助呼ばれる男はハッとしていた。
「そうだよ!
これ今は破れてるけど、見たことも無い生地で見たことも無い着物着てた!」
ぱぁっと顔を輝かせて、弁解していた。
私には何でこの人が私のために必死になるのか分からなかった。