拾われた猫。
刀の声
猫又が来てから2週間が経った。
怪我の具合もだいぶ良くなり、包帯が取れた。
「檻から出すのか?」
見に来ていた平助は好奇の目で猫又を見ている。
「もう檻にいる理由はないからね。
森に帰さないと」
この猫又もきっとそれを願っているだろう。
「そういえば、近づいても騒がなくなったな」
そう言って平助が私と同じ位置に来ると、猫又は少しだけ表情を怒らせた。
「…雨だけなのか」
不満そうにそう漏らした。
私に牙を剥かなくなったのは確かこの子が川に落ちた時からだ。
そしてこの子はよく私を見るようになった。