拾われた猫。



冬流さんの家につき、中に招かれた。



適当なところに座ると、お茶を出してくれた。




「あ…お構いなく」

「少し待っておれ」




奥の部屋に行く冬流さんを見ながら、お茶を頂く。



「美味しい…」




ボソリと漏らした言葉だった。



「あの男も同じようなことを言っておったわ」



フンッと鼻で笑い、布で包まれたものを渡された。


あの男……、お父さんのことだろう。




冬流さんは知っているんだろうか。


チラリと彼を見る。



彼はほんの少しだけ寂しそうに見えた。



< 299 / 443 >

この作品をシェア

pagetop