拾われた猫。
冬流さんの家につき、中に招かれた。
適当なところに座ると、お茶を出してくれた。
「あ…お構いなく」
「少し待っておれ」
奥の部屋に行く冬流さんを見ながら、お茶を頂く。
「美味しい…」
ボソリと漏らした言葉だった。
「あの男も同じようなことを言っておったわ」
フンッと鼻で笑い、布で包まれたものを渡された。
あの男……、お父さんのことだろう。
冬流さんは知っているんだろうか。
チラリと彼を見る。
彼はほんの少しだけ寂しそうに見えた。