拾われた猫。
「うむ…。
では君は行くところが無いのかね?」
顎に手を当てて考える仕草をして、私に問いかけた。
そう考えてみれば私はここから出たとしても、行くところがない。
「……そう…かも」
私の答えにいち早く反応したのは意外な人物だった。
「じゃあここに居なよ」
総司と呼ばれる男はいつのまにか、刀をしまっていた。
ニッコリと嘘くさい笑顔を私に向けてそう言った。
眉間に皺を寄せる私にもお構い無しの様子だ。
「どうですか、近藤さん。
危険人物かもしれない人を世に放つより、ここに置いていた方が都合がいいですし、何かあったら僕が斬ってあげるよ」
私を見てニヤリと笑った彼の本心は後者の方だろう。