拾われた猫。
「それを開いてみぃ」
私の手の包みを指さした。
そっと大事に開けると、小刀が入っていた。
「これ……っ」
刀の柄は忘れもしない、お父さんの刀の柄だった。
「刀身はお前さんが持ってきたものを使った。
刀は元には戻らん。
じゃが、あの長さなら小刀にくらいはなった」
スラリと抜くと刀身は小さかったが、とても綺麗だった。
「あの男が連れていた梅という娘。
あの娘はお前さんの話をよくしておった。
あの男も普段よりも優しい顔じゃった」
それが何を意味しているのか、自惚れでないのなら私にも分かる。
鼻の奥がツーンとする。
もう泣かないと決めたのに……。
その刀をギュッと握って胸の前においた。