拾われた猫。
男の子は悲しそうに俯いた。
「まだ…聞こえないんだね」
私に近づいて、手を引っ張られた。
無意識に男の子の高さまで屈んでいた。
「早く…。
僕は君を傷つけたりしない。
君を傷つけるものは許さない。
だから…」
小さな手を私の首に回して、口を耳元に寄せた。
「…早く…僕を頼って」
反射的に体を離すと、先程の涙は嘘みたいに可愛らしい笑顔を見せていた。
彼は後ろで手を組んで、「約束だよ」と言った。
そして朝が終わるみたいに少しずつ暗くなっていく。