拾われた猫。
ゆっくりと瞼を開く。
自分の部屋のものではない天井。
横を見ると、冬流さんから貰った〝桜牙〟が隣に寝ていた。
上半身を起こして、刀を手に取る。
「〝桜牙〟…」
その名前を呼んだだけだったけど、刀が少しだけ熱を帯びた気がした。
その時、カシャンカシャンと音がしたのでそちらを見た。
そこにはなんと、猫又の入った檻があった。
さっきの音は猫又が檻を掻いた音だったようだ。
猫又に近づこうとすると、腹部にじわりと激痛を感じた。
「っっ……!!」
バタンッとそれを押さえて蹲る。
布の感触がしてみて見ると、包帯が巻いてあった。
よく見ればサラシと袴しか着ていなかった。