拾われた猫。



「雨、覚えているか?

ここは冬流さんの家で、何があったのか」




左之は真剣な顔で私を見る。


それと同時に皆の顔に笑顔が消えた。




ゆっくりと思い出すように一部始終を彼らに話した。




「新選組は女王に忠誠を誓っている。

それ故に汚れ仕事もあるんだ。

…恨まれることも少なくない」



丞は苦虫を噛み潰したような顔で語る。



その時、また横からカシャンカシャンと音が聞こえた。



「お前、出たいのか?」



平助が顔を近づけると、「シャーッ!」と牙を剥いた。



その事にクスクスと笑いながら檻を開けてやる。



「おいおい、良いのか?」

「逃げたら捕まえる」



驚いた表情で聞く左之の方を向かずに猫又を見たまま答えた。



< 310 / 443 >

この作品をシェア

pagetop