拾われた猫。
「雨、覚えているか?
ここは冬流さんの家で、何があったのか」
左之は真剣な顔で私を見る。
それと同時に皆の顔に笑顔が消えた。
ゆっくりと思い出すように一部始終を彼らに話した。
「新選組は女王に忠誠を誓っている。
それ故に汚れ仕事もあるんだ。
…恨まれることも少なくない」
丞は苦虫を噛み潰したような顔で語る。
その時、また横からカシャンカシャンと音が聞こえた。
「お前、出たいのか?」
平助が顔を近づけると、「シャーッ!」と牙を剥いた。
その事にクスクスと笑いながら檻を開けてやる。
「おいおい、良いのか?」
「逃げたら捕まえる」
驚いた表情で聞く左之の方を向かずに猫又を見たまま答えた。