拾われた猫。
猫又は私に巻かれた包帯を見る。
そして頬ずりをした。
まるで痛みを宥めるかのように優しく、人に懐かないのに何の警戒心もなく近づいたのだ。
その事に私だけでなく、皆驚いていた。
「ほぅ…、猫又の生き残りか」
私の着物を持って入ってきたのは冬流さんだった。
着物をスッと私の肩に掛けてくれた。
腹部の所は破れていたはずなのに縫われていた。
「ありがとうございます」
「……礼を言うのは儂の方じゃ。
お前さんがおらんかったら儂は死んでおったわ」
包帯を見て、心なしか悲しげな表情をしている気がした。
それから冬流さんは鋭い質問を私に投げかけた。
「何故あの時刀を抜かなんだ?」