拾われた猫。
「雨ちゃんらしくないね」
総司はつまらなさそうにそっぽを向いて出て行ってしまった。
「ちょっ、総司!」
平助は総司を追いかけて行った。
今まではこんな感情は無かったし、今だって人を斬れないわけじゃない。
それに人を斬ることが今更怖いわけじゃない。
でも……。
「お前は単に刀を抜けない理由が芹沢さんの時を思い出すと言いたくないだけだろ。
別に吹っ切れていないならそれでいいが、縋りつくのは違う」
ピシャリと言われた左之の言葉は悔しいけど、図星だったのかもしれない。
私の中にぴったりとハマった気がした。
「……総司も平助も、皆お前の気持ちがわからないわけじゃない。
刀を抜いたからと言って、前のお前に戻るかどうかはお前次第だ。
過去に縋るな」
厳しい表情は私をよく分かっていた。