拾われた猫。



でも……刀を抜くのはまだ……怖いんだ。




私は刀をボーッと見ていた。



妖刀〝桜牙〟。



あの子はどうしてあんなに悲しげな顔をしたのだろうか。



私に使ってもらえない。


ただそれだけでは無かった気がする。




あの子は何かを…あるのかもしれない。




猫又は私を見て、「にゃー」と首を傾げて鳴いた。




猫又に向き直る。



「何でもないよ。

俺は大丈夫だよ」




頭で上手く整理できない悩みが増えていく。



これは誰に話しても、きっと分からない。




琥珀色の彼を思い出す。



でも彼は私の欲しい答えはきっとくれない。


いつもみたいに飄々と笑うだけなんだろう。




どうやって…何をすればいいのか、分からない……。




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