拾われた猫。
冬流さんは静かに考え、私に向いた。
「ならば、……桜牙を信じろ。
お前さんが自分を見失わなければ、何も怖がることはあるまい」
冬流さんには何かが分かっているんだろう。
でも、全ては教えてくれなかった。
私は桜牙をもう一度見て、夢の一連を思い出していた。
夕方になり、左之たちは私も目を覚ましたところで屯所に帰るように言われていたらしい。
私が生け捕りにした1人は、どうやら丞が先に屯所に連れていったらしい。
冬流さんにも危険が去ったわけじゃないと説明し、一緒に来るように言った。
でも、「刀を置いてはいけん」と頑として聞こうとしなかった。
「儂も刀の扱いくらい分かっておる。
あの男がおった時も危険は変わらんかった。
気にせずとも良い」
彼の言いように負けて、私たちはそのまま帰ることになった。